抗生物質を欲しがる患者さんが少なくないですが…むやみに服用するのは耐性菌を生み出す観点から好ましくないです…
のどの痛みや風邪症状で来院される患者さんたちの中には、抗生剤を出してほしいという方がいます。風邪に抗生剤が効くと思っているようなのです。
1928年9月30日にペニシリンが発見されたのが抗生物質の最初です。アオカビを培養している最中に偶然見つかった細菌を攻撃する物質としての発見でした。まだ100年が経過していないのですが、この間に様々な抗生物質が開発されてきました。抗生物質は画期的な発見だったのですが、攻撃される細菌のほうも抗生剤に対抗措置をとってくることがあり、徐々に抗生剤が効かなくなるのです。これが薬剤耐性菌というものです。すると人類はさらに強く新しい抗生剤を開発するのですが…追いかけっこはきりがなく、新たな耐性菌を生み出すことになります。つまり、抗生剤は必要なときに投与するものであり、不必要に使用しすぎると耐性菌を増やしてしまうことになってしまうのです。また抗生剤はウイルスには効きません。一般的には風邪はウイルスによるものです。ですから風邪症状の時に抗生剤を服用するのには一義的には意味がありません。自らの免疫機構を正常に保つためにも、むやみな抗生剤の使用は避けたいものですね。
2024年11月26日 14:27