基準・尺度って意識しませんが…日常診療でも意識しないといけませんね…
基準(尺度)って皆さん知っていますよね。でも実はとてもあいまいな概念なんです。体重計や📐などで物の重さや長さを測るのは、これは明確な基準に基づいているから絶対的な基準になります。でも曖昧(あいまい)なものは身近に沢山あります。例えば…徒競走で一番だった子と別の組でびりだった子はどちらが速いでしょうか?同じ組の中では順位尺度といって一番の子が最も早くびりの子が遅いのですが、組が違えばびりの子が走った組に速い子が集まっていればびり子のほうが遅い組の一番よりも早いかもしれません。つまり、順位尺度というのはあてになりません。また名前尺度というのもあります。一般的に、トヨタ○○と聞けば大きな会社で金沢八景○○と聞けば小さな会社と思うかもしれません。このようにイメージとして名前が力を持つこともあります。おそらく、今の日本で、「世界の中で怖い国はどこ?」と聞けば、ロシアとか北朝鮮とか答える人が少なくないと思いますが、ロシア国民に聞けば、アメリカとかNATOとか答えるかもしれませんよね。この場合は、価値観のように絶対的な基準がない場合です。思想や宗教などで全く別の価値観を持つ場合、同じ土俵では考えらえないことが起きてしまいます。
医療の世界に戻してみましょう。私が反省しなければならないと常々思っているのが、「医師の基準」です。医師にとって当たり前と思っている解釈も、「患者個々人の基準」とは異なっていることが多々あります。患者さんの目線での話をしない限り、説明したことにはならず、説教いているようなものになってしまいます。「説明と同意(インフォームド・コンセント)」はとても重要で当たりまえのように言われていますが、果たしてどれだけの医療者が患者さんの基準での説明を行えているのか…反省しきりです。
2022年04月05日 08:07